三時間ほどで東京湾をぬけたみたい。
すると、目の前に見わたす限りの大海原が広がっていた。
展望デッキから見つめる景色も変わらなくなって、たいくつになってしまう。
立ちっぱなしで疲れてきたので、座る場所を探して移動することに。
「はぁ~、まだ父島まで二十時間もあるのね……」
片道、二十時間の船旅。
小笠原諸島までの道のりは、距離で千キロメートルぐらい。
溜息まじりで落ち込む私は、荷物の入ったキャリーバッグをゴロゴロ引いて歩く。
展望デッキの横にある休憩スペースを見つけたので、足をふみ入れてみる。
横一列に並べられた椅子と細長いテーブル、その正面には窓ガラスがあって外の景色を見ることができた。
「一人でも落ちついて休めそう」
近くに購買カウンターがあったので、ミルクティーを注文する。
椅子に座り、ストローを口に付けた。
ミルクティーを味わって飲みながら、大海原を窓ごしに見つめる。
雨上がりということもあってか、外は晴天で波もおだやか。
「お母さんは仕事から帰ってくるのが遅いから、テーブルの上に置いてきた手紙を見るのは夜になってからかな……」
ひとり言をつぶやきながら、私はスカートのポケットに手を入れる。



