覚悟を決めた夏、あの空の向こうに



 私は、お父さんを見つめたまま、あふれ出る涙を手の甲でぬぐいとる。


「つらい思いをさせてしまったな、美央と真央に……」


 お父さんは私の頭に手を乗せて、なでてくれた。

 すごく安心できる、大きな手。


 今まで一人で悩み苦しんでいたことが、うそみたいに思えてくる。

 お父さんと妹に会えて良かった。

 この父島に里帰りできて、すべて報われたような気がする……


「感動的な再会で、涙がでてきますよ~……」


 なぜか、一部始終を横で見ていた律子さんまで涙を流してる。

 真央は……冷めた表情で涙を流す私たちを見つめていた。


 お父さんは見た目も若くて背が高く、海に潜ったりして体をつかっているから筋肉質でカッコイイ。

 父島でダイビングショップを経営してるので、ツアー観光にくる女性と仲良く話してる姿を見ていたお母さんが、離婚を一方的に……

 お父さんも色々と、苦労したのかなって感じてしまう……


 家に住み込みで働くフレンドリーな律子さんと、温厚で優しいお父さんとの三人暮らしだったら、きっと妹の真央も幸せだったはず。


 そんな二人と一緒に真央は今まで成長してたはずなのに、どうして声を失ったのだろう。




 色々と考えながら、私は妹の顔を見つめていた……