覚悟を決めた夏、あの空の向こうに



 自転車を押して裏庭へ移動していく真央の後を、私はついて歩いた。

 一人になりたくないので、妹の後を付いて進んでいく。


「ねえ、あの女の人、誰なの?」


 問いかけても、真央は私に背中を見せたまま無反応。


「学校にも来てたのよ。私の隣に座って、まるで保護者みたいな感じだった」


 真央は物置小屋の横に自転車を置くと、深く溜め息を付いた。

 鞄からタブレットを出して文字を素早く打ち込み、画面を私に見せてくる。


『あの人、住み込みで働いてる人なんだよ』と書かれていた。


「そうなんだ」


『大学を卒業して、去年の春から家にきてる』


「なるほどね」

 
『人なつっこくて困ってるんだ、あたしを猫や犬の代わりぐらいに思ってるかも 』


 眉間にしわをよせて、渋い表情をしながらタブレットの画面に文字を打ち込みつづけてる。


『抱き付いて頬ずりしながら、大きな声で騒いでるんだよ』



 私に向けてタブレットの画面を見せながら、迷惑そうな表情をしていた。