覚悟を決めた夏、あの空の向こうに



 顔を横に向けてみると、見渡すかぎりの大海原。

 水平線が遠くに見えて、なんだか自分がちっぽけな存在に思えてしまう。

 目を細め、見つめているうちに気づいてしまった。


「私、ここに前に来たことある……」


 その場所に立ちつくしたまま、私は海を見続けてる。

 その時、女の子が自転車のカゴに入れた鞄から何かを取りだし、私に手渡してきた。


「あっ、なつかしい~っ! レモネードだ!」


 ご当地名物のレモンジュースをもらって、うれしくなってしまう。

 かわいた喉を刺激する味に感動、ひさしぶりの味に懐かしい気持ちでいっぱいだ。

 私は女の子に、お礼を言おうとしたけど背を向けたまま。


「すごい迷惑かけてしまい、ごめんなさいね」


「……」


「帰ったら学校の先生から注意されたり、両親から怒られるかもしれないよ」


「……」


 自転車のカゴに入った鞄から、何かを取り出そうと女の子がモゾモゾやりはじめた。

 その様子にかまわず、私は話し続ける。


「ちょっと、聞きたいことがあるんですけど……」


「……」


「もしかして、言葉が話せないの?」


「……」