覚悟を決めた夏、あの空の向こうに



 女の子は、あわてて自転車を急停止させる。

 ハンドルを素早く右に切って、ペダルを力強こぎはじめた。

 来た道をいきおいよく戻り、必死に逃げていく。


「ちょっと、まちなさーい!」


 口うるさい先生も大きな声で叫び、絶対に見逃してくれない感じ。

 道をふさぐように左右から大人たちが出てきて、私たちの行く手を妨害してくる。

 女の子は自転車を左右に走行させて、大人たちの間をすり抜けながら走り進む。


 その先に、校門が見えた。

 学校の敷地から外に出れば、何とかなりそう。


「おねがい神様、妹に会いたいの……」


 そうつぶやいてるうちに、どうにか学校の敷地から脱出することができたみたい。

 私を自転車の後ろに乗せた女の子は大きな道路に出ると、右に向かって走り進めている様子。


「なんとか、だいじょうぶそうですね」


「……」


 女の子は何も答えてくれない。

 ただひたすら、ペダルをこいで自転車を走らせるだけ。



 でも、しばらく進むと、目の前に警察署が見えてきた。