覚悟を決めた夏、あの空の向こうに




「事情は話せません。でも、なんとか私を助けてください!」


 女の子は鞄を自転車のカゴに入れ、ハンドルを両手で持ったまま体の動きを止めている。

 口を開かずに、無言で目を細めて私に視線を向けているみたい。


「とつぜん、見知らぬ人にそんなこと言われてもって感じですよね……」


 その子は何も言わずに顔を横にフルフルと振って、ちがうよとアピールしている。


「じゃあ、助けてくれるんですか……」


 こまっていた姿を見て同情してくれたのか、私の言葉を聞いて小さくうなずいてくれた。


「えっ、いいの!」


「……」


 声を出して返事はしてくれなかったけど、首を縦に何度もふってうなずいてる。


「本当にいいんですか?」


「……」


 私の言葉を聞くと、その女の子は無言のまま駐輪場から自分の自転車を引き出した。



 そして、自転車の坐席に座った女の子は右足をペダルの上に乗せて走り出す準備を整えてる。