覚悟を決めた夏、あの空の向こうに



 妹の真央と正反対って、あの子、そんなにおとなしかったかな?

 幼少の時の思い出だと、活溌敵で男の子よりも強かったはず。

 いつも先頭になって島の子たちと遊んで、周囲の大人たちもハラハラして見ていたはずなんだけど……


 私は顔を横に向けたまま、外の景色を見ながら気だるそうに小声でつぶやいた。


「東京では知らない人の車に、のってはいけない決まりなのに……」


「先生だからいいのよっ!」


「先生って証拠は、あるんですか……」


「まあっ!生意気な子ねっ!」


 車の運転をしていた先生が怒り始めた。

 私の態度が悪いから、しかたないのかもしれない。

 でも、このまま学校に連れて行かれたら、東京へ帰るよう強く説得されるだろう。


「せっかく小笠原諸島の父島まで、一日かけて来たのに……」



 私はいま、すごく機嫌が悪い。



 小声でつぶやきながら、くやしい気持ちで胸の中がいっぱいだ……