覚悟を決めた夏、あの空の向こうに




 東京に戻った私は、真央と毎晩メールのやり取りをしてる。

 スマホ画面の向こうにいる妹は、なんだかすごくおしゃべりだ。

 学校のことや、律子さんの面白いエピソード話しを長文で送りつけてくる。


「真央、あいかわらず楽しそうね……」


 思わず画面に向かって、ほほ笑んでしまう。

 東京に戻ってきた私を、お母さんは何も言わずに受け入れてくれた。

 どういう心境かわからないけど、前よりも優しくなったような気がする。


 
 中学一年生の私は、夏休みが続いてる。

 二学期が始まるまで時間はあるけど、残っていた宿題や夏期講習などでしい毎日。


 夜遅い時間帯、真央とメールのやり取りを終え、部屋の窓から夜空を見上げた。

 きれいな星空を目にして、私は小笠原諸島の父島でのことを思い出す。

 声の出ない妹と手をつなぎ、夜の砂浜を歩いた記憶がよみがえってきた。




 ひんやりした感触の砂浜。

 ひんやり涼しい潮風。

 ひんやり冷たい海水。




 忘れられない思い出として、いまも心に残ってる。



 覚悟を決めた夏、あの空の向こうに、

 私のすべてがあった……
                                                               
                                                                





 ~fin~