覚悟を決めた夏、あの空の向こうに



 なにやら、真央が小脇に抱えていたタブレットに文字を打ち込み始めた。

 そして、画面を私に見せつけてくる。


「えっ、なになに……」


 メール交換しよう、もっとお姉ちゃんと話がしたい!と書かれていた。


「うれしいこと言ってくれるじゃなの!」


 私はキャリーバックから急いでスマホを取りだしたけど……


「ああっ! そういえばフェリーから下りたときコンクリートの地面に落として壊れたんだった!」


 この島に来た時、船から下りてすぐ、スマホを落として調子が悪くなり電源が入らないまま放置してたの忘れてた。

 島にいるあいだスマホは必要なかったし、東京からの連絡を見ないですむから、逆に良かったかな、なんて気軽に思ってたけど……

 小笠原諸島を離れる前に、妹と連絡を取り合える環境がほしかったな。


「は~っ……」


 大きな溜め息をつきながら、私はスマホの電源ボタンを押してみる。


「えっ、うそっ! 電源が入った!」


 嘘のような話だけど、奇跡がおきたとしか言いようがない。


「これで、東京にいても真央とお話できるよ!」


 神社に行って、手を合わせお参りしたご利益だよ!きっと!

 島の神様が私たち姉妹のことを見守ってくれてる。



 神秘的なできごとに感動しながら、神社のある方角に視線を向けて目を細めた。