「律子さんには色々と助けてもらったよね、本当にありがとう。これからも、倉橋ダイビングショップをよろしくお願いします」
律子さんは人目も気にせず、涙を流しながら私に話かけてくる。
「美央さ~ん、いかないで! さびしくなりますよ!」
「私も、律子さんの顔を見れなくなると悲しいな……」
「じゃあ、あたしのフィアンセになってくれたら、この島にいてくれるのっ?」
「はあ?律子さんの!?」
横に立つ真央を見ると、ニヤニヤと悪そうな顔をしている。
きっと、私が幼い時に島から出たくないとダダをこね、賢斗くんに結婚してほしいと迫った時のことを律子さんに話したんだ。
「真央、あんた覚えときなさいよっ!」
深く頷きながら、笑顔を見せる真央に別れの涙はなさそうだ。
そうよね、私が父島に来てから姉妹でたくさん泣いたもんね。
身長や顔つきも同じで双子に見られてしまう私たち。
はなればなれになってからは、お互い別々の町で暮らしていたけど、考え方は同じだったのかな。
私が帰ったあと寂しくなって、東京で暮らすお姉ちゃんに会いたいって、妹が思ってくれてたらいいけど……
「真央、元気でね。楽しかったよ」
私の思いを知らない真央は、首を縦に振って頷いてる。



