お礼を言って頭を下げたけど、倉橋ダイビングショップの前に集まってレモネードジュースを一緒に飲んでいた時より、近所の子供たちの人数より明らかに少ない。
「賢斗くんやイガちゃんは?元気のいい男の子たちがいないようね……」
不思議顔で首を横に傾げる私に、誰も理由を教えてくれない。
真央に聞いても、小脇に抱えてるタブレットを背後に隠して知らんふり。
「親が漁師の男の子たち、みんなどこに行ったのかな……」
真央は驚いた顔で首を横に傾げた。
その様子を見て、お父さんと律子さんは笑ってる。
フェリーへ乗船するための長いタラップを目の前にして、私は立ち止まった。
ゆっくり振り返って、家族みんなを見つめながら話かける。
「すごく迷惑かけてしまったけど、来てよかった……」
お父さんは私に向かって微笑みながら口を開いた。
「お母さんのこと、たのむぞ。美央が帰ってくるの心待ちにしてるはずだ」
おとなしい性格のお父さんを見捨て、島を出ていったお母さんの心配をするなんて……
複雑な思いを口には出さずに、私は平常心を装って父に向かって言う。
「うん、わかった。お父さんも元気で、お仕事がんばってね」
「おう」
笑顔を見せながら、お父さんは軽い返事をしてきた。



