覚悟を決めた夏、あの空の向こうに




 今日は定期便のフェリーが父島にくる日。

 東京へ帰省するため、私は船着き場の港にきていた。


 白いワンピースを着て、手にキャリーバッグを持っている。


「お母さんへのおみあげ……きっと、いらないよね……」


 小笠原諸島の父島へ行くことを、複雑な思いで送り出してくれたはずだから、おみあげなんて持って帰らないほうがいいよね。

 今だけは、東京に帰ってからのことは考えないようにしている。


 ターミナルで乗船手続きを済ませた私は、フェリーが停泊してる場所まで歩いて移動してる。

 お父さんと律子さん、真央も一緒にきてくれた。


 コンクリートで作られた大きな船着き場、岸壁から海に落ちてみんなに助けられたことを思い出す。


 父島へ旅行に来た人たちは午前中に船を下り、東京へ向かう午後からの船便は私のように帰省する、お客さんたちでにぎわっていた。


 島に到着して下船した時は人影がまばらだったのに、旅行客などを見送る島民が港にあつまってるといった感じ。


 どうやら、島の人たちみんなで、父島を去っていく観光客をお見送りするみたい。

 近所の子たちも姿をみせて、私との別れを寂しく思ってくれている。



「みんな、ありがとう」