マイクとマウンド、夢の向こうへ

歓声の裏で、深明は閉じたノートを見つめていた。

ヨッシーが最後に投げた直球。

いつもの軌道より、ほんの少しだけ沈んでいた。
だからこそ、ゴロになった。

踏み込んだ右足が、いつもより半歩だけ浅かった。

 深明の目が捉えたのは、さらにもうひとつ――

投球の途中で、右ふくらはぎを庇うように体重をずらしていた。

ほんのわずかな動き。

普通の人なら、気づきもしない。

でも、深明は違った。

——幼い頃から、ずっと見てきた。
——フォームも、癖も、投げるときの呼吸のリズムも。
——だからこそ、分かる。

あの最後の一球に、ほんのわずかな“痛み”が混じっていたことを。

 校歌が球場に響き渡り、選手たちは抱き合い、涙を流していた。

でも、深明だけは、笑顔になれなかった。