「葵はちょっと待って――…」
「…美咲っ、」
言いながら足を進めて行く私の背後から声が聞こえ私の足はピタッと止まる。
葵の声じゃなくて、ただその声に私の足が止まった。
階段の手すりに手を付けていた私は握ったまま振り返る。
葵の少し後ろから現われたのは…
「…え、何で…」
心底ビックリする私はそれ以上言葉を出す事も出来ず、ただただ翔の姿を目で捕らえてた。
「…諒也先輩が…」
あぁ、そっか。諒ちゃんか…
言わないでよ。
翔になんか言わないでよ…
小さく呟いた葵に視線を送ってからすぐにまた翔へと視線を送る。
「こんな時間に何してんだよ?」
そう翔が小さく低い声で呟いた瞬間、必然的に私の視線は下に落ちた。
「…何も――…」
ないよってそう言おうとした時だった。
2階からバタバタと急いで下りてくる男達に思わず言葉を止めて視線を向ける。
口元から血を流してる男達は血相をかきながら私の横を過ぎ去る。
な、なに?
何が起こったのか分からないまま、その走って行く男達を目で追ってると、
「キャャャャャーーーー!!」
辺り一面に響き渡る葵の悲鳴に心臓が飛びはねた。



