永遠の絆*

「おーい新山、遅いぞ」


教室に入るなり先生がため息交じりに声を掛ける。

そんな先生の声に応える事もなく私は一息ついて腰を下ろした。

左斜め前に座っている葵は私に気づき、薄ら笑って“おはよ”と口を開く。

そんな葵に私は頷いた。


葵は諒ちゃんと一緒にママの病院に行ったんだから、もちろんこの事は知ってるはず。

葵はママに何て言ったんだろう。

諒ちゃんとどんな会話をしたんだろう。


そればかり気になって、その事が授業終わるまで頭の中で重く圧し掛かってた。


「美咲、大丈夫?」


休み時間になってすぐ葵は私の席まで来て、私の顔を覗き込む。


「何が?」

「なんか疲れてる感じ」

「あー…まぁね」

「この前はごめんね」


葵は申し訳なさそうに口を開き顔の前で両手を軽く合わせる。


「ん?何の事?」

「ほ、ほら、誰か迎えに来てほしいって言ってたのに諒也先輩が行って…。ごめん美咲、嫌だったよね…」


そんな葵の顔を見て嫌だったなんて言えない。

葵に頼んだのはこの私だ。

迷惑な時間に頼んだのはこの私だから。


「別に嫌じゃなかったけど。私もごめんね、あんな時間に」

「ううん」

「ってか、何で諒ちゃん?葵、一緒に居たの?」

「あ、うん。諒也先輩がね、ツレいるけど一緒にご飯食べに行く?って言うから、ちょっと気晴らしに着いて行ったの」

「へぇー…そうなんだ。ママ大丈夫だった?」

「うん。偶然にも、その日居なかったから」

「そっか。良かったね」


葵を見て薄ら微笑むと葵も柔らかい笑みで微笑んだ。