「美咲っ…、」


月曜の朝。

教室に入るなり(あおい)は私の腕を掴んで焦った顔をし、屋上に向かって駆け足で進んで行く。


「えっ、ちょっ、なに?」

「……」


戸惑う私を無視して、葵は必死に私の腕を引っ張った。


「ねぇ、ちょっと葵っ、」


ちょっと急に何よ?

どうしたの?


葵とは中学の時からの仲。

私が今している事も全て葵は知っている。

葵に知られた時はさすがに軽蔑されたし何度も言いあった。

そんなに言われるのなら友達をやめる。…と言うか、私の事を人として見ないでほしいと言った。


だけど葵は私を選んでくれた。


悲しい瞳に満ちた葵にきつく締め付けられるくらいにまで胸が痛んだけど、どうしてもそこまでしてでも私にはお金が必要だった。

私は間違った事なんてしてないって、ずっと自分に言い聞かせてた。



屋上の扉を開けると辺りを見渡しながら葵は私を外に連れ出す。

葵は今にも戸惑いを隠せられないほど混乱していて、その瞳は不安がいっぱいって感じだった。