永遠の絆*

「…みぃちゃん?」


私の視界に翔が入り、ゆっくり目線を上げると目の前に翔がしゃがみ込んでいた。

しゃがみ込んでいる所為で、私と翔の目線は同じで翔は私の顔をジッと見つめる。


「…私は、いいや」


翔の目線から少し逸らして小さく呟く。


「何で?ちゃんと食えよ。また金の事、心配してんの?」


その言葉に私は軽く首を振る。

ただ今は、食べる気になれないってのと、ザワザワした所には行きたくない。


ただ、それだけ。


「あ、そか。ごめん。もうこんな時間だし、親心配すんもんな。送る」


腕時計に視線を落とし翔は申し訳なさそうにそう言って、柔らかい笑みを浮かべた。

だけど、帰りたくない気持ちが高ぶる。

帰った所でママは居ない。


「…誰も居ないから」


小さく呟く私に、「え?誰も?」翔の戸惑った小さな声が耳を掠める。


「うん。だから、心配しなくていい。先に帰っていいよ」

「いやいや普通におかしいだろ。俺が勝手連れてきて先に帰れって?そこまで俺酷い男じゃねぇから」


そう言った翔に私はクスリと笑みを浮かべた。


「でも、大丈夫。心配しないで」


ほんとに心配なんかいらない。

今までそうやって生きてきたから。

波の音が心地いい。海が好きって言ってた翔の気持ちが今なら分かる気がした。

心地いい風も、心地いい波の音も、潮の香りも本当に心地よくて嫌な事、全て消し去ってくれそうだった。


「あー…じゃあさ、食いに行くの嫌だったら俺んち来いよ。何か作ってやっから」


そう言ってきた翔に思わず咄嗟に顔を上げた。

俺んちって…、

だけど、私の家庭の理由を聞かない翔に内心ホッしたのは確かだった。