୨୧ こだま side
親の転勤により、秋という絶妙な時期に転校する事になった私。
親の仕事上、転校なんて今まで何回もしてきた。
なので、普段なら自己紹介や、質問責めも
それ程緊張もしないのですが…。
実はいつもと違う点が1つ。
それは、もう私も高校二年生という事で受験も控えているため今回で転校は最後という事。
まあ、本来なら高校二年にもなれば親の転勤にまで着いていくことは中々無いだろう。
しかし、私の妹はまだ幼く、両親揃って育児をしなければいけない状況であった。
なので着いてきていた、という感じだ。
しかし、今までと違い、私はこの学校で残りの高校生活を送るということ。
今までは、長く居られても一年行かないくらいまでだったのでなんとなく馴染めるか緊張する。
そんな転校初日を無事終えて 疲れきった私は、
後は帰るだけだと思っていた。
早く帰ってベットにダイブしたい…。
「今日はホント疲れたな〜…」
独り言のつもりで、ロッカーからローファーを取り出しながら呟く私。
矢先、昇降口でとある部活に誘われた。
天気が悪くなりそうだから早く帰りたいなと思いつつも、頑張って話に耳を傾ける……が、
今日は疲れてるからちっとも内容入ってこない…!!!
とても申し訳ないし心苦しいが、またの機会にお願いしよう、と思い 断る事にした。
しかし、その判断が間違えだった。
ドン、と私の顔の真横につれた手。
後ろはロッカーで逃げ場がない。
「こ、これは一体なんでしょうか…!?」
目の前の光景に思わず声を上げる私。
疲れて眠くなってきていた脳が一気に覚める。
この状況は所謂 壁ドン、という奴だろう。
「壁ドンってゆーの、知らない?」
「そういう事じゃない…!」
こんなに近くで男の人と話したことないよ…。
よりによってこの人物凄く美形さんだし…!!!
そう考え始めると段々早くなって行く鼓動。
どうするべき…!?
「…1ミリも話聞いてないでしょ」
不機嫌そうな表情で至近距離でこちらを見つめてくる。
