昔私は病弱で弱虫、全ての「弱い」をつめこんだような子だった。
だから親には愛されなかった。けど、全然平気だった。明るくて太陽みたいなお姉ちゃんに愛されていたから。


私が外で転べば、ばんそうこうをはって
「大丈夫。さあなら大丈夫」
って言ってくれる。それが魔法みたいでそれをきいたらすっごい元気になった。


お姉ちゃんは、ままれもなく私のヒーローだった。
だだ、1回だけ、本気で怒り狂ったことがあったっけ。


なんだか急に川に行きたくなってふたりでとてとて家の前の小さい可愛いに行って。
きらきらしたい水面に目をうばわれて。足元の石につまずいて前につんのめって。
幸い浅いところで、お持ちゃんに間一髪つかまえられて無傷だった。
でもお姉ちゃんは私をきつく抱きしめながらわんわん泣いてた。
「もお~っ!あさひのばかあっ!」



たけど、私が小学4年生になって、コンピューターにハマリ出したころ、中1のお姉ちゃんは暗い顔をするようになった。コンピューカーにはまってたころだから気付いてなかった。
最底の妹だよね、ほんと。


完全にひきこもったお持ちゃんのようすを見に行ったら、ぽつぽつと語り始めた。


浅葱創介というやつに入学式から絡まれて、友達がいなかったこと。
なんにもしてないのに、いっつもいっつもいじめてくること。でも大企業の息子だから誰も口答えできないこと。


知らないあいだにこんなにも傷ができていたなんて。苦しくて悔しくて泣きそうだった。
だけど、最後に発った言葉に衝撃をうけた。
「ありがとう…ごめんね、お父さん」


話し相手が居ればよかったんだ。私じゃなくても。
その事実に、胸がはり裂けそうだった。でもそのときは復讐なんか考えてなかった。
「ごめんね...ごめんねぇ!!」
ときどき、寝言で完気だったころの言葉を紡いでいた。
「もう、あさひったら。駄目でしょっやーめて!」「あさひ、ありがとっ」
そのときの顔がとっっても幸せそうて、起こせないんた。。。
だって、あの日の顔が見れるのはここだけなんだもん。。。



そして、運命の日。小学6年生の冬。相変わらずひきこもりのお姉ちゃん。
久しぶりに起きている彼女に出会えて期待と不安が入り混じっていた中でお姉ちゃんがささやいた言葉で私は堕ちた。復讐という闇に。



”どうせわたしは誰にも愛されていないんだよ…。小愛”


衝撃だった。いや、それ以上だったし悲しかったしイラついた。


目の前にいるじゃない。誰よりあなたを愛してる人が。今、「小愛」って言ったじゃん。。。!

どうせ、なんて言わないでよ、1番嫌いな言葉なんでしょ?
『自分を悪く言う言葉は使っちゃダメ!』
口癖のように言ってたじゃない。


お姉ちゃんは愛されない人じゃない!みんなから愛されるんだよ!?

やめてよ、やめて。。。!!


それと同時に、もうひとつ、憎悪の念が沸いた。

浅葱創介が悪いんだ。


あいつが、お姉ちゃんを壊した。
それなのにあいつはのうのうと生きてる。なんで?
なんであいつはお姉ちゃんの苦しみを知らずに生きてるの?

あいつが悪い。全部、全部。。。っ!
───私があいつを傷つければいい


復讐しようとした、始まりのとき。
なんていいアイデアなんだろう?なんでそこに気付けなかったのか。
目標が決まれば、するべきことが一瞬で決まる。
情報もうを駆使して、国家機密のスパイ学園があることを知った。


そこのネットワークに侵入すると、任務のなかで浅葱創介を護衛するというのがあるのもわかった。
そのメールに私を推薦する旨を書いたものを送った。

罪悪感のかけらもなかった。そうしたら、あっけないほど簡単にその要望が通った。
上手くいきすきて、怖いくらいだったけどすっごく嬉しかった。


私は口元に悪い、ゆがんだ笑みを浮かべた。


たた時が悪くて、転校生、という扱いになるんだと担任から言われ、親はもう私に興味なんか1ミリもなく、邪魔者を追いはらってせいせいしたところだろう。

お姉ちゃんだけが心配で、ねているときに別れを告げて、できるだけすばやくでて行こうとした。だって決心がにぶりそうだったから。