桜が咲く時まで、生きていたい

「みんなで泊まりに行かないか?」

「泊まり…?」

宗一郎はわかっているはずだ。姫奈が今入院中だと言うことも、体の状態も。

「姫の疑問はわかる。けど安心してほしい。小牧先生には許可をとってある。条件は出されたけどね」

どうやら、少し前から計画していたことだったらしい。

小牧先生から出された条件はこうらしい。

・今日の検査結果が良好であること
・姫奈のご両親に許可を得ていること
・姫奈の意思を尊重すること
・絶対に無理はさせないこと
・一泊で帰ってくること
・羽田も一緒に行くこと

主にこうらしい。

「だから、最終的に決めるのは姫奈なんだ。どっちがいい?」

そんなの、決まってる!

「行きたい!!」

でも…、と心の中をふとよぎることがあった。

(千佳ちゃんや瑠花ちゃんも一緒に行きたいな…)

もちろん、宗一郎と二人きりというのもとても行きたい。でも、人数が多い方がもっと楽しいと思ったのだ。

そんな姫奈の心を見透かしたように宗一郎が思いがけないことを口に出した。

「じゃあ、決まりだな。ちょっとここでみんなに電話してもいいか?」

「…?いいけど…なんで?」

その疑問に答えることはなく宗一郎はどこかに電話をかけだした。

そしてスピーカーにして姫奈にも聞こえるようにしてくれた。

『やっほー!!』

驚くことに聞こえてきたのは千佳の声だった。

そして次々と瑠花、春樹、蘇芳の声が聞こえてきた。

どうやらグループ通話らしい。

『電話が来たってことは、作戦決行ってことだね』

この声は春樹だ。

『姫ちゃんも聞いてるんでしょ?』

これは蘇芳。

『姫奈、一緒に最高の思い出作ろうね!』

久しぶりに聞くみんなの声に感極まって涙が出てきそうだった。

「じゃあみんなそう言うことで、作戦どうりに」

『おっけー』

そう言ってその後少し喋って電話はおしまいとなった。

何も聞かされていない姫奈はまだ疑問だらけだったが、宗一郎の任せておけと言う言葉に安心し、おまかせすることにした。

「実はみんなに声をかけておいたんだ。千佳と瑠花だけを誘うのはちょっと男女の比率的にアレだったからあいつらも呼んだけど…良かったか?」

そう言って心配そうに覗き込んでくる宗一郎はなぜか子犬のようだった。

「ふふっ。うん、大丈夫。人数が多い方が楽しいし」

「良かった。それで、泊まる場所なんだけど、ここから30分ぐらい走ったところにある別荘なんだ。今回は特例として羽田さんもくることになっているし、広い方がいいかと思って、俺の家が持ってる別荘で、ここから近いんだけど、海がとても綺麗に見えるんだ」

その話を聞き想像しただけで楽しくなってくる。

それに、宗一郎の口ぶりから家族には話がいっているようだった。

何から何までしてくれる宗一郎に感謝しかない。

それから数日、みんなで泊まりに行く日まで特に体調に変化が来ることもなく無事に病院を発つことができた。