桜が咲く時まで、生きていたい

検査当日。

いつもなら検査の日は時間がかかるということと宗一郎が姫奈に負担をかけたくないと言う希望もあり、宗一郎は来ないはずだった。

姫奈自身、丸一日を使って行われる検査に疲れが出るのだ。

だが、今日は検査が終わる時間ぐらいに少しだけ顔を出すと言っていた。

入院生活が始まり、最初こそ宗一郎はいなかったものの、仲直り…?以降毎日来ている宗一郎が来ないというのは、今では不思議な感覚なので、姫奈としては来てくれた方が嬉しい。

それに、宗一郎は姫奈のことを第一に考えて行動してくれているので、むしろ宗一郎が来てくれた方が気持ちが安らぐし、疲れが癒やされるのだ。

もちろん、家族も来てくれてはいるが、やはり大好きな人がいてくれるというのはまた別の効果があるらしい。

検査が終わり、3時間ほどで結果が出る。小牧先生の診察室に呼ばれた姫奈は若干緊張しつつ足を踏み入れる。

「やぁ、姫奈ちゃん。検査結果が出たよ」

小牧先生の後ろには私を担当してくれている看護師の羽田さんもいる。

そして彼女はニコニコと笑っていた。

「それで、結果だけど…良好だね。宗一郎に伝えてあげなさい。何か計画しているんだろう?」

「いえ、私は聞かされていないんですけど…」

「おや、そうなのかい。じゃあ、この後すぐにでも聞いてみないとね。言っておいで」

「はい!」

検査結果が悪かったらどうしよう。あんなに嬉しそうにしていたのに…と思っていたので、スキップして帰りたい気分だ。

念の為、と羽田が付き添いで病室まで送ってくれた。

最近は手足が痺れることもないし、幾分か調子がいい。

病室の扉を開けると、中で宗一郎が待っていた。

姫奈に気づくと、すぐに歩み寄ってきて姫奈の体を支えてくれる。

「ありがとう」

「気にするな。俺が少しでも姫に触れていたいからしていることだし」

最近はお礼を言うと決まってこのように返してくれるのだ。姫奈が気負わないように気遣ってそのように言ってくれているのだと思うが、内心それでも嬉しい。

「…検査結果、どうだった?」

宗一郎がおずおずといった感じで聞いてくる。

「実は…」

さも悪かった風を装うと、宗一郎の顔が動揺を帯びていく。

「良好だったよ!」

そう言い切った瞬間、宗一郎の顔には安堵と喜びの表情が広がった。

「…びっくりした。悪かったのかと…驚かさないでくれよ」

「ごめんごめん」

笑いながら返すと、宗一郎もつられて笑い出した。

ひとしきり二人で笑い、宗一郎が本題を話し出す。

「それで、夏休み最後の思い出作りなんだが…」