桜が咲く時まで、生きていたい

姫奈が眠りの世界に入った。

「これぞ眠りのお姫様だね」

「先生、姫奈のこと、教えてください」

「そうだね。いいかい、長くなるよ?」

そう言って宗一郎がしっかりと頷いたのを見て話し始めた。

姫奈の患っている病気、ギラン・バレー症候群の具体的な症状、非常に珍しい病気で、重症化するケースが少なく、今回の姫奈は特別

ケースで、医師たちも手を焼いていること。これまでの経過と今の状態、症状の悪化などは、姫奈の精神状態にも大きく左右されること

そして余命のことを話した。

宗一郎はしばらく、何も話せずにいた。

「姫奈ちゃん、本当に君のことが好きだと思うよ。悲しませたくなくて、あんなふうに別れを切り出した。でも、大人の目から見ても、君は、受け入れてくれるんじゃないかと思う。ご両親もそうおっしゃっていた」

「治る確率は、ゼロじゃないんですよね」

「そうだね。でも、ここ最近の数値はひどい。これが続くようなら、回復は難しい」

「俺が、少しでも回復に向かわせます。姫奈が喜ぶようなこと、まだ何もできてないっ。まだ、カップルらしいこと何もできてないんです…」

「そうだね。姫奈ちゃんのことを喜ばせてあげて。でも、気負いすぎないでいいからね。君が全てを背負う必要はない」

「わかってます。ありがとうございます」

「それじゃあ、今日はお暇するよ。ゆっくりしていきなさい」

それから一時間ほどで姫奈は目覚めた。