桜が咲く時まで、生きていたい

お泊まり会の翌日の検査で、少しだけ数値が上昇し、食べる量も少しだけ増えた。

「え____もう学校に行けないかもしれない…?」

病室で告げられた残酷な事実に、少しだけ明るくなった心が、また元に戻ってしまった。

もう、あの教室でクラスのみんなと授業を受けることはできないかもしれない。

これで、宗一郎とも会うことはなくなる。

本当に、これでいいのだろうか…。

小牧先生と入れ替わりで入ってきた羽田さんに、思いがけないことを聞いてしまった。

「なんか最近、毎日イケメン男子高校生が来てるのよ。なんでも、彼女を探してるらしくて。この間その子の友達がここから出てくるの見たって言ってるみたいなんだけど、こっちとしても患者さんの個人情報教えるわけにもいかないし」

話を聞いているだけだった姫奈は特に何も返答しなかったのだが、何かを察した羽田さんは、会うかもね?と言っていた。

なんでも、病室を一つづつまわり、ネームプレートを確認しているらしい。

「姫奈ちゃんの元彼、しぶといね?院内でも噂になってるよ。イケメンがお姫様探してるって。まぁ、こっちの病棟はあんまり立入ることできないし、そうそう見つけられなさそうだけど。この間、私も実物見たよ。すごい必死だった。顔もやつれて」

それを聞いても、腹を括ることができないでいたその時、ちょうどお母さんが入ってきた。

「おはよう、姫奈ちゃん。さっき、小牧先生に聞いたよ。姫奈ちゃんの体のことも、宗一郎くんのことも。本当に、このままでいいの?」

「お母さん…私…」

お母さんが横の椅子に腰掛ける。

「宗一郎くんなら、受け止めてくれるとお母さんは思うわよぉ?」

安心させるように笑う母の微笑みは、今の姫奈の目にはまるで聖母のように映って見えた。

そこでようやく、少し勇気が持てた気がした。

それからお母さんは一日も欠かさずに宗一郎が来ていることや、ここしばらく仕事が忙しすぎて病院に足を運ぶことがで来ていないお

父さんが姫奈に会いたがっている話などをしてくれた。

午後になり、お母さんも帰り、昼食も済ませたところで、久しぶりに外で運動をしようと羽田さんに誘われ病室を出た。