桜が咲く時まで、生きていたい

でも…できなかった。そうさせてくれなかった。

大好きな宗一郎の腕がしっかりと姫奈を掴んで離さない。

「どこ行く気?話終わってなくない?」

多分、今引き留まったらこの先別れられなくなる。

今、振り返ったら涙がこぼれてしまう。

だから…。

「ごめん」

君の手を振り解く。

もう、私は戻れない。戻っちゃいけない。

「えー?修羅場?彼女に振られちゃったの?お姉さんたちと遊ぼうよー」

「このこかわいー」

ほら。大丈夫。宗一郎くんが一人になることなんてない。

そう言い聞かせて、近くのトイレに駆け込んだ。

個室に入り、荒い息を整えようとする。

でも…できなかった。

熱い涙が溢れてくる。

次第に息もどんどん上がっていき…。

『はい、小牧です。姫奈ちゃん…?』

「…っ、せんせ、くる…」

『もしかして、息苦しい!?今どこ!?とりあえず、深呼吸!』

そう言われて何回か深呼吸しているとだんだん収まってきた。

「海辺の…トイレにいます…」

『わかった。迎えに行くからそこで息整えてて。電話は繋いだままで』

迎えにきてくれると聞いて一気に安心したのか、急に意識が遠のき始めた。

「_____?」