律さんは、いつもの落ち着いた声音で告げた。
「京、今日から少し環境を変えましょう。あなたの勉強には、静かな場所が必要だと思うの」
そう言って案内されたのは、屋敷の奥にある一室だった。
窓は小さく、廊下からの足音も届かない。空気が澱んでいるわけではないのに、どこか閉ざされた印象を受ける部屋だった。
「鈴や慎と過ごす時間は、またの機会にしましょう。今は京だけの時間が大切なのよ」
やさしく微笑む律さんに、京は逆らえなかった。
頷くほかない。
その日から、鈴や慎と顔を合わせる時間は少しずつ奪われていった。
食卓に並ぶ時も席は離され、言葉を交わそうとすれば律さんの視線がすぐに突き刺さる。
理由を問えば「京は特別だから」と優しく囁かれるだけだった。
鈴は最初こそ「一緒に遊ぼうよ」と部屋まで来たが、律さんに軽く叱られると、しゅんと肩を落として帰っていった。
慎もまた最初は「窮屈そうだな」と笑っていたが、気軽に声をかけることをやめてしまった。
屋敷の中に人はいても、京の周りだけが音を失っていく。
律さんは満足げに見守り、時に肩へと手を置いた。
「いい子ね、京。あなたは本当に、私に似て賢い子だわ」
京は笑みを返す。けれど胸の奥では、冷たいものが広がっていくのを止められなかった。
「京、今日から少し環境を変えましょう。あなたの勉強には、静かな場所が必要だと思うの」
そう言って案内されたのは、屋敷の奥にある一室だった。
窓は小さく、廊下からの足音も届かない。空気が澱んでいるわけではないのに、どこか閉ざされた印象を受ける部屋だった。
「鈴や慎と過ごす時間は、またの機会にしましょう。今は京だけの時間が大切なのよ」
やさしく微笑む律さんに、京は逆らえなかった。
頷くほかない。
その日から、鈴や慎と顔を合わせる時間は少しずつ奪われていった。
食卓に並ぶ時も席は離され、言葉を交わそうとすれば律さんの視線がすぐに突き刺さる。
理由を問えば「京は特別だから」と優しく囁かれるだけだった。
鈴は最初こそ「一緒に遊ぼうよ」と部屋まで来たが、律さんに軽く叱られると、しゅんと肩を落として帰っていった。
慎もまた最初は「窮屈そうだな」と笑っていたが、気軽に声をかけることをやめてしまった。
屋敷の中に人はいても、京の周りだけが音を失っていく。
律さんは満足げに見守り、時に肩へと手を置いた。
「いい子ね、京。あなたは本当に、私に似て賢い子だわ」
京は笑みを返す。けれど胸の奥では、冷たいものが広がっていくのを止められなかった。

