巫女さんは、にこり、と、柔らかい笑顔をで俺を見た。
はぁ。
本当に、俺ってこんな美女と間近でお話できて幸せだよな……と、しみじみ思う。

「もうすぐ仲間になる人には、とりつかないものなのよ、霊って」

……前言撤回。やっぱ、不幸せかも。

「だって、非効率じゃない?折角取り付いたのにそれがあっという間に無効になるなんて」

と言い、巫女さんは楽しそうに微笑んでいる。

笑顔でブラックジョークを言うのが好きな人なんだろうか。
ま、まぁあの殿の友人の友人だもんな。

俺は自分を納得させようと必死だった。

だって、相手が医師免許を持っているじじぃだろうが、巫女の衣装がめちゃくちゃ似合う美女だろうが、もうすぐ死ぬなんて言われるのは、やっぱりゴメンだろう?

俺はまだ17歳。
未来に希望溢れる、高校2年生なのだから。



結局。

除霊しないと私は強くなれないじゃない、と、真剣に言い出す巫女さんに負けて、部活の撮影と偽って、殿を指定された場所に連れて行くことにした。

っていうか、やっぱり。
それは俺の仕事なんですかね?!

と、言いたい気もするが、絶世の美女に頼まれたとあっては、断るわけにもいかない。
複雑な男心なのである。