私、男の子マネージャーになって、推しアイドルをお守りしますっ!

「ロケが終わったあとにね、一人でホテルの部屋に戻って、荷物を持って出ようとしたの。そしたら、ドアの電子ロックが壊れちゃって……」
「え、部屋に閉じ込められたってこと⁉」
『うん。そうみたい……。今はロックを直すためにセキュリティ会社の人を呼んでるんだけど、まだ来てなくて、いつになるのかわからないの……。だから、本当にごめんね……!』
「結衣ちゃん、泣かないで!」

 私は電話の向こうで泣きじゃくる結衣ちゃんを必死でなぐさめた。

「だって、電子ロックが急に壊れたんでしょ? それは、結衣ちゃんが悪いわけじゃないから、気にしないで!」
『そ、そう……? でも、みんなに迷惑かけちゃったし……』
「大丈夫! 誰も結衣ちゃんのこと、怒ってなんかいなかったよ。それより、結衣ちゃんが学園に戻ったとき、いつものキラキラした笑顔を見せてくれたら、僕……すっごく嬉しいな!」
『奏くん……っ! 本当に、ありがとうっ……!』

 さっきまで落ち込んでいた結衣ちゃんの声が、パッと明るい声に戻った。
 その瞬間、涙ぐみながらも眩しい笑顔を見せる結衣ちゃんが、まるで目の前にいるみたいに頭に浮かんだ。
 私は電話越しの結衣ちゃんに向かって、「うんっ!」と大きくうなずいた。