「よう、氷高」

 凛斗さんは瑞稀くんの前で立ち止まると、片方の口角をくっと上げて笑った。

「今月の【エモガール】に載ってたお前のインタビュー欄、小さかったな」

 凛斗さんが瑞稀くんにマウントを取ってきた。
 その瞬間、この場の空気がビシッと張り詰める。
 ちなみに、【エモガール】というのは、私くらいの十代の女子に人気のファッション誌で、結衣ちゃんも専属モデルとして活躍しているんだよね。
 たしかに凛斗さんの言う通り、今月号に掲載されていた瑞稀くんのインタビュー記事は小さめだったけど……。

「ま、俺たちは密着インタビューで4ページももらったけどな」

 これ見よがしにフフンと鼻を鳴らす凛斗さん。彼の後ろにいるメンバー二人もどこか誇らしげに、うんうんと大きくうなずいた。
 でも、瑞稀くんはまったく動じない。
 さっきから煽られているのに怒らないの? さすがの私も爆発しそうだよ⁉