私、男の子マネージャーになって、推しアイドルをお守りしますっ!

「うわっ⁉」

 混乱の中。ふと、瑞稀くんの声が聞こえた。
 ハッと我に返ると、体のバランスを崩した瑞稀くんが、後ろに倒れそうになっている。

「危ない‼」

 止まれ、止まれ! 砂嵐も瑞稀くんもどっちも止まれ!
 私は心の中で強く念じながら、残り少ない体力をふりしぼって瑞稀くんの腕をつかんだ。
 それからぐっと自分の方へ瑞稀くんを引き寄せようとした、そのとき。
 体のバランスを崩して、前のめりに倒れて――……。
 ……あれ?
 思いっきり倒れたはずなのに、あんまり痛くない。
 それより、唇に柔らかいものが当たっているのが気になるんだけど、なんだろう?
 砂嵐の音がピタッと止んだあと、ぼんやりと見えたのは、瑞稀くんの横顔だった。
 かっ……顔、近っ! なんて私がドキッとしていたら、瑞稀くんが迷惑そうに顔を歪めた。