1週間後の早朝。

「やっと着いた……」

 私は星宝学園の男子寮にある、starixの部屋の前に立ち止まった。
 このドアの向こうに、瑞稀くんをはじめ、starixのメンバーがいるんだ……。
 そう思うだけで、期待と緊張で心臓が高鳴った。

「落ち着け、私……」

 気持を整えるように大きく深呼吸をしたあと、ドアノブに手をかける――その前に。
 念のため、ウィッグがズレていないか確認しなくちゃ!
 スラックスのポケットから取り出した手鏡をのぞく。
 そこには、地毛と同じ焦げ茶色の、髪の短いウィッグをきちんとかぶった私が映っていた。
 もともと中性的な顔立ちのせいかな。ショートヘアの私は、どこからどう見てもかなり男の子っぽい。
 普段のロングヘアの私とは別人みたいで、ちょっとドキドキする。
 でも、これならきっとstarixのメンバーどころか、男子寮にいる男の子アイドルたちも、私が女の子だって気づかないはずだ。