私が絶叫してるというのに、パパとママはあっけらかんとした涼しい顔。

「奏、頼んだよ。瑞稀くんを守り抜いてくれ」
「転校の手続きは私がやるから。奏は来週までに荷物をまとめて、星宝学園の男子寮に入る準備を済ませておきなさい」

 まったく、娘をなんだと思っているのやら……。
 パパとママの落ち着きっぷりに、ただただ呆れて……じゃなくて、圧倒されてしまう。
 人気アイドル、starixのマネージャー。
 その実態は、氷高瑞稀くんのボディーガード。

 やっぱりどう考えてもこのミッションは、私にはかなり荷が重い。
 護衛の仕事も、マネージャーの仕事も、男の子として転校するのも……全然上手くいく気がしない。
 でも、新学期から始まる星宝学園での生活や、starixとの出会いが待ち遠しくて、ワクワクしている自分もいるんだ。

 特に、瑞稀くんと再会できるチャンスがやってくるなんて――嬉しくてたまらない!
 このミッション、絶対に受けるしかないよね!
 私は胸に手を当てて、パパとママをまっすぐ見つめた。

「わかった! やるよ! 私、絶対に瑞稀くんを守ってみせる!」