人気アイドルグループ、starixの絶対的センターである瑞稀くんには、もう一つの顔がある。
　それは、大手企業、氷高グループの御曹司という顔だ。

　お金持ちの跡取り息子である瑞稀くんは、ある日、犯人グループによって手足を縛られ、車で連れ去られそうになった。
　でも、間一髪のところで私がその現場を目撃。
　能力で犯人たちを空高く吹っ飛ばし、瑞稀くんを助けたんだ。

　実は私と瑞稀くんは、ご近所さんで幼なじみ同士。
　物心つく前から、いつも一緒に遊ぶほどの仲良しだった。

　でも、小学５年生に進級するタイミングで、瑞稀くんは親戚の人たちの意向で転校することになったんだ。
　それも、私たちが住んでいた街から遠く離れた、寮付きの名門小学校に。
　なんでも、その学校には代々氷高家の人たちが通っていたからなんだって。

　あの事件が起きたのは、瑞稀くんが転校先の寮へ旅立つ日。
　お別れを言うために瑞稀くんちに向かう途中、私はあの事件の現場に居合わせてしまったんだ。
　あのときの出来事は、今でも昨日のことのようにはっきりと覚えている。
　でも、それは私だけじゃなくて、パパもママも同じだったんだ。