「ヤバッ! 遅刻遅刻!」

 突然、焦った声が私の耳に飛び込んできた。
 直後、ドンッ! と肩に何かがぶつかって、思わず体のバランスを崩しそうになる。

「ごめんなさーい!」

 振り向きざまに私に謝ってきたのは、小学生くらいの小柄な男の子だった。
 有名な塾のロゴが入ったリュックを背負って、バタバタと一目散に走って行く。 
 今はちょうど春休みの時期だから、春期講習に行くところかな?
 間に合うといいけれど……って、ちょっと待って! 今、赤信号だよ⁉