「瑞稀くんを狙っているその犯人、いったい何を企んでいるんだろう……?」

 考えただけで胸がざわついて、自然と顔が強張っていく。

「しっぽを出してくれれば、何かわかるんだけどなぁ……」

 パパがあごに手を当てて、「うーん」と深く考え込んだ。

「でも、相手はかなり手強いと思うわ」

 ママが静かに言葉を継いだ。

「どんなに校舎や寮のセキュリティを強化しても、こっそり忍び込んで、瑞稀くんを監視しているみたいなんだもの。今のところ、特に目立ったトラブルはないけれど……」

 ママの表情が翳りを帯びる。その目には、不安の色が宿っていた。

「このままじゃ、3年前のような事件が起こるかもしれない」
「3年前……って、まさか⁉」

 私はハッと息をのんだ。
 3年前の事件――それは、瑞稀くんが狙われた誘拐未遂事件のことだ。