私、男の子マネージャーになって、推しアイドルをお守りしますっ！

「あーあ、ざーんねん。あともう少しだったのに」

　ふと、この場にそぐわない、わざとらしいほど大げさな声が聞こえてきた。
　顔を上げると、いつの間にかこの部屋の中にいた女の子と目が合った。
　この子、誰だろう……？
　現れたのは、淡いクリーム色のウェーブヘアをツインテールにした、勝気そうな女の子だった。
　裾がふわふわと広がった黒いワンピースをまとっていて、片手にピンクのスマホを持っている。
　なんだかお嬢様っぽい子だな……。思わず目を奪われていると、女の子が私に冷ややかな視線を注いできた。

「ちょっと、瑞稀から離れて」
「え？」
「聞こえなかった？　またさっきみたいな目に遭いたいの？」

　そのとき、瑞稀くんがすかさず鋭い目で女の子を睨みつけた。

「いい加減にしろよ、綺咲……」

　待って、綺咲⁉　その名前、瑞稀くんが転校した学園の――。

「明日華(あすか)って呼んでって言ったでしょ！」

　瑞稀くんに『綺咲』と呼ばれた女の子が、甲高い声で叫ぶ。