「瑞稀くん、すごいよ! アイドルとして本当に……、ものすごくかっこいい……!」

 声が少しふるえたけど、本人には気づかれなかったみたい。
 瑞稀くんはフッと笑って、「ありがとな、奏」と目を細めた。
 その優しい笑顔に、心臓がトクトクと鼓動を刻む。
 でも、私はそのときめきを振り払うように、すぐに頭を横に振った。

 だって、もう決めたんだ。 恋をするのはもうおしまい。
 護衛の任務が終わるまで、マネージャーとして瑞稀くんを全力を支えるって。
 自分にそう言い聞かせたのに、これが正しいってわかっているのに、何でだろう。
 瑞稀くんから視線をそらした瞬間、私の両目から涙がぽろぽろとこぼれ落ちていった。