「やっとつかんだこの夢は、絶対に誰にも壊させない」

 そう力強く言い切って、唇をきゅっと結ぶその横顔から、まっすぐな覚悟と情熱がビシビシと伝わってくる。
 瑞稀くんは本気だ。
 自分の力で叶えた夢を、とても大切にしているんだ。
 そう考えると、私のこの恋心はあまりにもちっぽけで、ワガママで、瑞稀くんの邪魔にしかならないのかもしれないと思えてきた。
 だったら――。
 私はそっと息を吐いて、胸に手を当てた。
 心に広がる温かな想いを、ぐっと奥に押し込むように。