たどり着いたのは、ひっそりとしたフロアの隅にある部屋だった。

「では、ここでちょっと待っててくださいね!」

 スタッフがドアを開けるなり、俺たちの背中をぐいぐい押してくる。

「うわっ!」

 押し込まれるようにして入った部屋の中は、照明がついているのに薄暗くて、とてもカビくさい。
 あたりを見わたすと、古い番組のセットや小道具、埃をかぶった機材がごちゃごちゃと置かれている。
 ここ、物置きだよな? どう考えても、これから始まる音楽番組の打ち合わせをする場所には見えないんだけど……。