「あっ、あのCM始まってる!」
「本当だ! 見ていこうよ!」

 たまたま私たちの近くにいた女の子たちが、黄色い声を上げてはしゃぎ出した。
 CMって、いったい何の?
 女の子たちのキラキラした視線の先をたどると、ビルの大型ビジョンが目に入った。その瞬間――……。

『おっ! お待たせっ……。待った?』

「――っ⁉」

 画面に映ったのは、まさかの浴衣姿の私。
 声にならない声で叫びそうになって、慌てて口を手でふさぐ。
 まさか、こんな人通りの多い場所にある巨大な画面に、自分の顔がドアップで映ってるだなんて……!
 恥ずかしいのと暑いのとで、顔から湯気が出てきてしまいそう……。
 画面がパッと切り替わり、今度は瑞稀くんの顔が映し出される。
 CMの中の瑞稀くんは、ハッと目を大きく見開き、はにかんだ笑顔で私に星空サイダーのペットボトルを差し出した。