「なっ……、なわけないから!」

 私が慌てて否定すると、朔良くんは肩をすくめて楽しそうに笑った。

「ふふっ、だよね。冗談だよ」

 もう、おどろかさないでよ……。つい本気にしちゃったじゃん。

「お前ら、そのへんにしとけよ」

 突然、頭上から低い声が降ってきた。顔を上げると、いつの間にか瑞稀くんが私の隣に立っていた。

「もうすぐ撮影が始まるから、今のうちに準備しとこうぜ」

 瑞稀くんの言葉に、蘭くんたちは納得したようにうなずいて、スクリーンの方へと向かった。
 瑞稀くんと二人きりになっちゃった……。
 ドキドキしながら、瑞稀くんをチラッと見上げる。すると、不思議そうにこちらをじっと見つめる瑞稀くんと視線がぶつかった。