凪がくれた勇気

先輩
『焦らなくていいよ?』
『私はここにいるから、ゆっくり、ゆっくりね。』

ニコリ

私は先輩の笑顔に包まれながら、
メモ帳に”ありがとうございます”と
書き始めたところで手を止めた。

歩侑(ふう)
(いつまでも筆談に逃げちゃダメ…!)
(私は変わるんだ…!自分の口で伝えるんだ!)

音のない世界で、自分の人生に
全力でぶつかる清凪(せな)くんにもらった勇気で。

歩侑(ふう)
「あ、あの…せ…ぱい…!」

先輩
『?』

歩侑(ふう)
『あり、ありが…。』

先輩
『なぁに?』

歩侑(ふう)
「先輩、ありがとうございます!!!」