歩侑(ふう)
「来ちゃった…体育館…。」
「場違いすぎて落ち着かないなぁ…。」

図書館と全然違った。

穏やかな空気、独特な本のにおい、
ページをめくる音の代わりに、

シューズがフロアをこする音、
ボールが跳ねる音、選手たちのかけ声が
絶え間なく響いていた。

初めて感じる迫力に圧倒され、
頭がくらくらした。

歩侑(ふう)
(うぅ…意識が…。)
(耐えて歩侑(ふう)!もうすぐ選手入場…!)

間もなく会場が暗転し、

アナウンス
『選手入場!皆さん拍手でお迎えください!』

会場が一気に明るくなり、
アナウンスと手話のガイドさんの案内で
両チームの選手たちが走ってきた。