怖い……。
なにが怖いって、度胸だめしすることが、じゃなくて。
片眉がひくついている中条の顔が。
これでもし、妖精がいなかったら、あたしこれから、本腰入れていじめられるんじゃ……。
せっかく、妖精が入っていった場所を確かめるチャンスなのに。中条のオーラが怖すぎで、ぜんっぜん楽しめない。
ひとつ、ふたつ、三つ……。
先頭に立って、アーチ状の入り口から、中をのぞき込んでいく。
ならんだ穴の中はどこも、しんと暗い。
車庫みたいに長方形した部屋は、がらんどう。古いレンガの壁のすき間から、冷たい闇が染み出してる。
中条はあたしの数歩後ろを、めんどくさそうについてくる。
あたしが三歩歩くところを、長いコンパスの足で一歩。わざとのろのろ足を出してるところが、嫌味な感じ。
お互い無言で、アーチ状の入り口の前を通りすぎて。
四つ目の部屋。
のぞきこんだら、真ん中で、小さな銀色の粒がまたたいた。
なんだろ……?
暗がりに目が慣れてなくて、そこだけチカチカして見えるのかな?
周囲が見えてきて、チカチカの光が輪郭をつくっているのに気がついた。
トンボの羽。
細かい光がラメみたいに無数にちりばめられていて、部屋の中央で、小さな銀色の羽を形づくってる。
羽だけじゃなくて、羽のはえた小さな人にも、光の粒はふりかけられていた。
……さっきの子っ!
バレリーナみたいな白い服の女の子。赤紫色の花を手に、がらんどうの部屋にたたずんでる。
その子の前に、もうひとりの妖精が横たわっていた。
顔立ちは中学生くらいかな? 白いレースのロングドレス。ふわふわパーマの長い髪に、小花のかんむりをつけて。目を閉じて、両手を胸の上で組んでいる。
だけど、その子の肌を見て、目をつむっちゃいたくなった。
だって、かわいそう……。
カワイイ顔や真っ白の細い手足のあちこちに、カビみたいな緑の斑点ができている。目もずっと開けないし。
なんかの病気……?
