たぶん、小さいころに見た夢。
だけど、セリフまでぜんぶ覚えてる夢なんて、ほかにない。
だからあたしは信じてる。
あたしは妖精の子。
いつか、こんな生きづらい世界から抜け出して、妖精の世界に帰るんだっ!
「おい、和泉っ!! 」
低い声に呼ばれて、ハッとふり返った。
いつの間にか、二十メートルくらい、花畑を進んでた。
登山道のところで、木の幹に片手をついて、中条がこっちを見ている。
琥珀色の目と、目が合う。

……あの目……っ!
胸の奥で、なにかがカチッとつながった。
さっきまで声しか覚えていなかった夢の中の人に、パズルのピースみたいに、琥珀色の目があてはまる。
だけどすぐに、あたしの頭は「?」マークでいっぱいになった。
「あ、あれ? なんで? あたし、なにが? え……中条……?」
ジーンズをはいた長い足が、ズカズカ花畑に入ってくる。
「うわっ !? なんだこれ? イタっ!」
ぶつぶつぼやきながら、豪快に花を踏んでくる。
と思ったときにはもう、中条は目の前にいて、足元の花をにらんでいた目が、キッとあがって、こっちを見た。
「和泉っ!! こんなとこで、なにやってんだっ! おまえが迷子になったら、怒られるのは班長のオレなんだぞっ!」
だけど、セリフまでぜんぶ覚えてる夢なんて、ほかにない。
だからあたしは信じてる。
あたしは妖精の子。
いつか、こんな生きづらい世界から抜け出して、妖精の世界に帰るんだっ!
「おい、和泉っ!! 」
低い声に呼ばれて、ハッとふり返った。
いつの間にか、二十メートルくらい、花畑を進んでた。
登山道のところで、木の幹に片手をついて、中条がこっちを見ている。
琥珀色の目と、目が合う。

……あの目……っ!
胸の奥で、なにかがカチッとつながった。
さっきまで声しか覚えていなかった夢の中の人に、パズルのピースみたいに、琥珀色の目があてはまる。
だけどすぐに、あたしの頭は「?」マークでいっぱいになった。
「あ、あれ? なんで? あたし、なにが? え……中条……?」
ジーンズをはいた長い足が、ズカズカ花畑に入ってくる。
「うわっ !? なんだこれ? イタっ!」
ぶつぶつぼやきながら、豪快に花を踏んでくる。
と思ったときにはもう、中条は目の前にいて、足元の花をにらんでいた目が、キッとあがって、こっちを見た。
「和泉っ!! こんなとこで、なにやってんだっ! おまえが迷子になったら、怒られるのは班長のオレなんだぞっ!」
