響け!色彩のフォルテッシモ

大きな物音と声が廊下から響いた。クララが真っ先に「フンベアトの声ですわ!」と言い、音楽室を出て行く。レオンハルトとリズも顔を見合わせた後、彼女を追いかけた。

廊下の突き当たりに美術室はある。その美術室の前には、十人ほどの美術部部員たちが集まっており、フンベアトが必死にドアノブを捻っていた。

「何があったんですか?」

レオンハルトが訊ねると、一人の男子生徒が困った様子で口を開く。

「今日は部活のある日なので来たのですが、ドアに鍵がかかっているのかドアが開かなくて……」

フンベアトは顔を真っ赤にしてドアと格闘している。レオンハルトは杖を取り出した。

「ミスター・ブリュンヒルト。鍵を魔法で開けましょう」

レオンハルトがそう言った時である。部屋の中から、「ドン!!」「ガシャン!!」と大きな物音が響いた。フンベアトがドアから手を離す。

「な、何だこの物音……」

部員全員が顔を見合わせていた。レオンハルトは杖をドアに向け、呪文を唱える。

「キアーヴェ!」