響け!色彩のフォルテッシモ

「そりゃあ、あのクララさんですよ。完璧にできて当たり前です」

「当たり前?」

レオンハルトが聞き返すと、エリサは鼻の鼻を膨らませながら続けた。

「だって、クララさんは勉強もスポーツもできるんです。楽器を弾けて当然でしょ。この学園の生徒会長でもあるし」

そう話す彼女の表情は、嫉妬で塗れたものではなかった。逆にクララのことを誇りに思っている様子だった。

「副会長のフンベアトさんも完璧な人よね。フェンシングの大会では何度も優勝しているし、美術部のコンクールでも最優秀賞を受賞してる。お似合いの二人だと思うわ!」

レナが頰を赤く染めながら言い、エリサも「お似合いよね」と同意する。二人にとって、クララとフンベアトは手が届かない星のような存在なのだろう。

(この二人は嫌がらせの犯人には見えないが、警戒するに越したことはないだろう)

レオンハルトは話し込む二人を観察する。その隣でリズも同じように二人を見ていた。その時である。

「クソッ!!開かねぇ!!」