響け!色彩のフォルテッシモ

「それじゃあ、今日も練習を始めよう。まずは音合わせから」

グレアムが指揮棒を動かすと、クララたちが一斉に楽器を吹き始める。音楽室に一気に音が溢れた。その音にレオンハルトは目を細める。

(綺麗な音だな……)

音合わせが終わった後は、コンクールに向けて練習している楽曲の演奏が始まる。この楽曲のポイントは、途中でトランペット奏者一人での演奏があるところだ。そのパートに差し掛かると、椅子からクララが立ち上がる。

力強いトランペットの音が響いた。クララは、緊張した様子など見せることなく吹き続ける。その姿に誰もが羨望の目を向けていた。

(すごいな。彼女のトランペットの腕前、もはやプロだ)

レオンハルトの体にゾクリと寒気が走る。これは、初めてAliceの歌声を聴いた時のようだった。



休憩時間を迎えると、吹奏楽部の部員たちがレオンハルトとリズを取り囲み、演奏の感想などを聞きに来た。

「サックス担当のレナ・シャロットです!今日は見学に来てくださってありがとうございます。演奏、どうでしたか?」

「とても素敵な演奏でした。見学に来てよかったです」

「特にクララさんのトランペットはプロのようですね」

リズとレオンハルトがそう口にすると、レナの隣にいたフルート担当のエリサ・ゲルケが息を吐く。