放課後、レオンハルトはグレアムに案内されて音楽室へと向かう。音楽室の前に来た時、彼は足を一瞬止める。音楽室の前にリズがいた。どうしようかと迷うように音楽室のドアを見つめている。
「あれ?君、転校生だっけ」
グレアムが話しかけると、リズの肩がびくりと跳ねる。しかし、レオンハルトの顔を見るとリズの表情が和らいだ。
「あっ、えっと、同じクラスのクララ・ヒルドさんが「部活見学に来て」と誘ってくださったんです。ですが、勝手に入っていいものなのかと……」
(もうヒルド嬢と接触を果たしたのか。しかも、部活見学を勧められるほどだから関係は良好と見える。リズ、君はすごいな)
この言葉を口にすることができないもどかしさを抱えながら、レオンハルトは「中に入りましょう」とグレアムとリズと共に音楽室の中へ入る。音楽室には三十人以上の部員が揃っており、それぞれ担当の楽器を手にしている。
「グレアム先生。ご機嫌よう」
トランペットを手にしたクララが顧問であるグレアムに話しかける。グレアムは指揮棒を手にした後、生徒たちの前に立った。


