100日後、クラスの王子に告白されるらしい

 結局、原因は俺の説明不足と甘えだった。

 そりゃ、嫌だよな。

 自分のこと口説きながら、女マネにべったりの男なんて。

 俺だって嫌だよ。

 莉子には言ってないけど、たまに園芸部の男から嫌味を言われることがある。


「おとなしい女子無理矢理付き合わせて俺様気取り?」

「柊かわいそ、無理矢理付き合わされてさ」

「手え広げるならサッカー部内だけにしとけよ」


 上の二つはまだいい。

 いや、よくないけど、ただのやっかみだし、莉子に無理矢理迫ってる自覚はある。

 でも、最後のは聞き捨てならない。

 俺は、莉子一筋だ。

 なんでそんなこと言われなきゃいけねえんだよ。


 それが、莉子に言われてやっと分かった。

 誰も俺とメイサが従姉弟だって知らなかった。

 サッカー部はもちろん、後日職員室で聞いたら、顧問も他の先生も誰も知らなかった。

 ……マジかよ。

 なんでだよ。

 慌ててあちこちで従姉弟だと、付き合うなんて絶対にないと言って回った。

 家でボヤいたら、母親と姉貴まで俺とメイサが付き合ってると思ってた。


「付き合ってないのに、その距離感はないでしょ」

「付き合ってるから、家の出入りしてたんじゃないの?」

「ウソだろ」


 勘弁してくれ。

 メイサには事情を説明して、距離を置くように頼んだ。


「えー、別に良くない? 柊ちゃんはわかってくれたんでしょ?」

「良くない。莉子に余計なこと言われて、嫌な思いしてほしくねえんだよ」

「……だからってさ」

「とにかく、従姉弟でも近すぎってわかったから、距離置く。メイサだって、俺にくっついてたら彼氏できねえだろ」

「そんなの……いらないよ……」

「西先輩に振られて、散々愚痴ってたじゃねえか」


 ムスッと黙り込むメイサを置いて、柊を探しに行く。



 莉子には謝り倒して、ようやく名前で呼んでもらえることになった。


「颯くん」


 そう言ってはにかむ莉子がかわいくて、危うくキスしそうだった。

 ……しても、きっと許されたかもしれない。