『その秀女、道を極まれり ~冷徹な親衛隊長様なんてこうして、こうよっ!!~』


 もぞ、と琳華は体を起こす。
 何か外で人の声、と言うか梢が聞き馴染みのある声と話をしているようだ。あくまでも普通の話し声の声量ではなく、眠っている琳華に配慮をしたような声のせいで何を話しているのか聞き取れはしなかったがその相手は……。

 「あ、お嬢様おはようございます」
 「おはよう、小梢はちゃんと眠った?」
 「はい!!もうすっかり。私もつい先ほど起きまして、それであのお嬢様……」

 いつもの梢の明るい表情が少し曇る。

 「今、雁風様がいらしていて……お嬢様のお気持ちを汲まれた伯丹辰様から、そのお父上様へのご進言で、その」

 言いにくい事を丁寧に説明しようとする姿に「ここにはわたくししかいないのだからいつも通りでいいのよ」と伝えると梢は大きく息を吸う。

 「えっと“劉愛霖(あの子)に言いたい事があったらぶちかましに行けます”とのことです。一応、お嬢様は被害者ですので接見の権利はある、と」
 「真相はご本人しか知りえない……としても、愛霖様がわたくしに何か話すとも思えないのだけど」
 「非常に不敬な言葉ではありますが罰則や罪人などを取り仕切る刑部(きょうぶ)の方々はお嬢様ならば愛霖様から真相を吐かせられる、とお考えのようです」

 梢が言いよどむのも分かる。
 つまり刑部の者たちは琳華を使って愛霖への尋問をしようとしている。それが愛霖による嘘か真か、どちらにせよ最初から仲が良かった琳華になら口を割るかもしれない、と。

 愛霖は、劉家は一体なにをしようとしたのか。